「選択的夫婦別姓制度」を巡る国会の法案審議で、制度の導入を望んで「事実婚」を選んだ香川県の男性が17日の法務委員会で参考人として意見を述べました。
選択的夫婦別姓制度を導入する法案と旧姓を使いやすくする法案について審議している衆議院の法務委員会。17日は、有識者や当事者ら5人が参考人として出席しました。
香川県宇多津町に住む会社員の割田伊織さん(30)は2024年、婚姻届を提出せずに「事実婚」を選んだきっかけについて述べました。
大学時代にスキー部の活動で出会った団体職員の武井七海さん(29)と2022年に交際を始め、結婚を意識するように……。元々割田さんは自分の名字を変えてもいいと思っていたそうですが、武井さんから「じゃんけんで名字を決めないか」と言われ、自分の思いに気づきました。
(「事実婚」当事者/割田伊織さん)
「いざ現実に変えるかもしれないという状況に立たされたとき、はっきりと名字を変えたくない。そう思ってしまったのです。しかし、自分が嫌だと思うことを妻にさせるのは違うと思いました」
17日は、武井さんも随行者として委員会の場に同席しました。
割田さんは法律婚との違いを感じる場面を紹介し、「無意識に子どもについて話題にするのを避けるなど事実婚という状態が家族の将来を考えるハードルになっている」などと述べました。そして「選択的夫婦別姓制度が導入されればすぐに婚姻届を提出したい」と訴えました。
(「事実婚」当事者/割田伊織さん)
「たとえ旧姓に法的な根拠が与えられ、さまざまな場面で使えるようになったとしても、私は戸籍名を変えることはしたくありません。使えればいい、周りから呼んでもらえればいいというわけではないのです」
法務委員会の参考人質疑を終えた割田さんと武井さんに改めて事実婚を決めたきっかけについて伺うと……。
(武井七海さん)
「どっちも名字を大切に思っているので、どっちがどっちに決めるというのは難しいから『じゃんけんで決めちゃう?』みたいな、本当に、私は冗談っぽく伝えたつもりだったんですけど」
(割田伊織さん)
「今の私たち夫婦のあり方も違ったのかなと思うと妻の、きっかけを与えてくれた言葉にはすごい感謝してます」
今の国会の会期は6月22日まで。委員会での採決や法案成立の見通しは立っていません。
(武井七海さん)
「今国会でできれば通してほしいですけど、通らなかったら、次の国会で話し合うってところを決めていただきたい。実際に実行していただきたいなと思っています」